名古屋地方裁判所 昭和59年(わ)1061号 判決 1984年10月01日
(被告人)
(一)
本店の所在地 愛知県西尾市寺津町四ノ割横道東八番地
法人の名称
碧海工機株式会社
代表者の住居
同県碧南市春日町四丁目三六番地
代表者の氏名
池田義男
代表者の住居
同市春日町二丁目三番地
代表者の氏名
池田利雄
(二)
本籍 同市汐田町三丁目六番地
住居
同市春日町四丁目三六番地
会社役員
池田義男
昭和二年三月一八日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官和田英一出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人碧海工機株式会社を罰金三〇〇〇万円に、被告人池田義男を懲役一年に処する。
被告人池田義男に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人碧海工機株式会社(以下「被告会社」という。)は、愛知県西尾市寺津町四ノ割横道東八番地に本店を置き、自動車部品製造事業を営むもの、被告人池田義男は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括するものであるが、被告人池田義男は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空材料費を計上するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、
第一 昭和五六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三億六三三九万二七七〇円で、これに対する法人税額が一億五〇一七万七〇〇〇円であるのに、同五七年三月三一日愛知県西尾市熊味町南十五夜四一番地一所在の西尾税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億七九七五万一八八七円で、これに対する法人税額が六七五二万七五〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額八二六四万九五〇〇円を免れ、
第二 同五七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二億四六七九万〇一一三円で、これに対する法人税額が一億〇一三九万八三〇〇円であるのに、同五八年三月三一日前記西尾税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億二七九二万八三四二円で、これに対する法人税額が五一四七万九一〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額四九九一万九二〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人池田義男の当公判廷における供述
一 第一回公判調書中の被告人池田義男及び被告会社代表者池田利雄の各供述部分
一 被告人池田義男の検察官に対する供述調書
一 被告人池田義男の大蔵事務官に対する質問てん末書六通
一 被告人池田義男作成の上申書
一 石田和男の検察官に対する供述調書
一 石田和男の大蔵事務官に対する質問てん末書五通
一 池田利雄の大蔵事務官に対する質問てん末書二通
一 武栄佑の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 大蔵事務官作成の査察官調査書一四通
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料
一 西尾税務署長平川正雄作成の証明書五通(三丁のもの二通、二丁のもの三通)
一 登記官作成の登記簿謄本
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(記録証第一三六号との記載のあるもの)
一 西尾税務署長平川正雄作成の証明書二通(二四丁のもの、四丁のもの(検甲25)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(記録証第一三七号との記載のあるもの)
一 西尾税務署長平川正雄作成の証明書二通(二三丁のもの、四丁のもの(検甲26))
(法令の適用)
被告人碧海工機株式会社の判示各所為は法人税法一六四条一項、一五九条一項に、被告人池田義男の判示各所為は同法一五九条一項にそれぞれ該当するところ、被告人池田義男につき各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は被告人両名につき刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人碧海工機株式会社については、同法四八条二項により各罪所定の罰金額(法人税法一五九条二項を適用して情状によりいずれもその免れた所得税の額に相当する額)を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金三〇〇〇万円に処し、被告人池田義男については、刑法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 河合長志 裁判官 原田國男 裁判官 甲斐哲彦)